天理教婦人会

ひながたをたどり 陽気ぐらしの台となりましょう

16. 時にはしゃがんで見ることも 

時にはしゃがんで見ることも 

長男が4才の冬、
夕方、火の気のある台所でまとわりつくので、
「もう! あっち行ってて!」
と何度も言いながら、私は夕食の用意をしていました。
しばらくして気が付くと、息子の姿が見あたりません。
お風呂、トイレ、押し入れ、庭…
思いつくままに探しました。けれど、見つかりません。
辺りは暗くなり、
「あと30分探して見つからなかったら、警察に連絡しよう」と主人。
懐中電灯を手に、何度も探した場所をまた捜し、
家の中、押し入れを開け、ふと腰をかがめてしゃがんでみると、
「いたー‼」
押し入れの下の段に積んだ布団の奥で、
ぐっすり眠っている息子を見つけました。
目を覚ました息子に
「なんで押し入れの中にいたの?」と尋ねると、
「いつも言うでしょ、布団の上で寝なさいって」と。
体中の力が抜け、胸の奥が熱くなるのを感じました。

腰をかがめてしゃがんだ時のあの高さ、
それが子供が毎日見ている世界だったことに気がつきました。
子供の頃、天井がものすごく高く感じたこと、
子供の頃、お父さん、お母さんは、ものすごく背の高い人だと思っていたこと…
そしてなんでも素直に行動していた子供の頃。

あれから数年が過ぎ、息子は今、どんな世界を見ているのでしょうか?
時には子供の目線に下りて、同じ景色を見てみるのも、
今しかできない大切な親子の時間です。