ワイワイたすけ合い 「5.ろっくの地の一れつきょうだい 」 その2
「プリズン・ガール」の話
一方、普通の女の子がアメリカに留学し、ハンサムでお金持ちの恋人ができたら、その人が実は麻薬売買の元締めで、その女の子自身、彼にクレジットカードを貸しただけなのに、麻薬密売の協力者として、アメリカの刑務所に約二年も入れられてしまった、という体験をまとめた本『プリズン・ガール』を、有村朋美さんが書かれ、二年前に発売されました。テレビで、安倍なつみさん主役で放映されたので、そちらをご存じの方もあるかもしれません。
受刑者仲間には殺人者も含む、異国の女子刑務所で、日本人は自分たった一人、しかもその間に日本ではお父さんが病気で亡くなるという、壮絶な日々の中にも、最後には他の受刑者達の心に触れ、悲しみやいたわりあいさえ体験する話です。彼女が勇敢にもこの本を出した意味は「最底辺の、最悪な私達囚人にも、生きてきた日々があり、生きる理由があり、意味があると思うから」と述べられています。
この本を読むと、ドラッグが日本より一層日常的なアメリカという社会が垣間見えます。時間的に、将来日本もアメリカのようになる可能性があり、距離的にもアメリカと日本は、どんどん近くなっています。ある意味、私達はドラッグに近い社会に近づいていっているのです。
さらに、そのような社会では、自分が被害者になる危険とともに、有村さんや受刑者仲間のように、自分が加害者側になる危険性もあります。有村さんの受刑者仲間には、有色人種で貧困層出身者が多く、一族に麻薬密売人や受刑者が多数いる家系であるケースも珍しくありません。そこに社会格差による悲劇ともいえる側面があり、加害者も、ある意味社会的被害者であるかもしれません。
世界に羽ばたいていっても、日本の中にいても、厳しく苦しい環境にいても、穏やかで恵まれた環境にいても、ドラッグなどの危険が、自分に全く無関係と安心しきっていてはいけないと思います。
【参考文献】有村朋美著『プリズン・ガール』ポプラ社 2005 |
ろっくの地※の一れつきょうだいへ
120年前、教祖が、扉を開いて一列ろくぢに踏み均(なら)すと仰せ下さいました。
世の中のグローバル化はどんどん進んでいます。教祖が現身(うつしみ)をおかくしになられる前の日本は、江戸時代から明治時代にかけてで、士農工商等の身分制度や、男尊女卑、鎖国などがあり、職業選択の自由や外国旅行などは夢のまた夢だったのです。自由平等を願う先人達の努力と犠牲、親神様と教祖のお導きで、私達は今、より自由平等になり、国の内外の人的交流も、情報交換も驚くほど進みました。
その一方、治安の維持が困難になった点もあります。テロリストも麻薬も国内に入りやすくなりますし、国外で危険な目に遭うこともあるでしょう。
教祖は、世界中の人間は皆、葡萄のように丸くつながり合って、とおっしゃいましたが、グローバル化によって、私達の葡萄はいびつなままどんどん大きくなっていると言えましょう。ろっくの地をめざして生きる、きょうだいたる私達は「自由平等とともに、一方では危険にも遭いやすくなったことを自覚して、(覚醒剤などの)危険には近づかない! 身を守る!」かつ「お隣でも離れていても、誰かの(覚醒剤の被害・加害などの)不幸は、いつか何らかの形で自分にも影響する可能性がある。人の辛さに、関心と助け心を持とう!」しかし「己の力を決して過信せず、自分に可能な『真の助け』を、たとえ小さなことからでもコツコツ積み重ねよう!」と思うことが大切と、私は思います。
※ろっくの地
「ろっく」は大和地方の古い言葉で、「ろっくの地」「ろくぢ」とは平らな土地を意味します。教祖は、険しい山を切りひらき、荒野に道をつけて、世界が平らで安らかになるよう、万人たすかるこの教えを世界にくまなく弘めて下さっています。
(草場直子 2007年3月発行『ウィズ・ユゥ』vol.18 より)
ワイワイたすけ合い「6.難儀するのも心から」へつづく
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