天理教婦人会

ひながたをたどり 陽気ぐらしの台となりましょう

ワイワイたすけ合い 「7.をびやほうその許しは親心のたまもの」その2

7.をびやほうその許しは親心のたまもの
 
 親にもたれて人事を尽くそう

「をびや許しを頂く資格がない?」と思う時

 をびや許しを信じる、疑りの心をなくすということは、突き詰めて言えば、親神様の存在や、おぢばを人間宿し込みの地と信じるということです。私の尊敬する友人に、「なるほどの人」のように私には見えるのに、妊娠時、をびや許しを願い出なかった人がいました。その人は、「天理教的な考え方は好きだけど、自分は親神様の存在を百パーセント確信しているか自信がないので、そんな自分がをびや許しを頂いても、結局は疑りの心があるということだから、ご守護頂けないかもしれない」と、願い出なかったそうです。

 神という存在は見えるものではないですし、私とて「神は存在すると思う」と、「思う」がつく人間です。ふしがあると、すぐ心を倒しそうになります。信じる気持ちと疑う気持ちは、100対0ではなく、かろうじて、51対49で、信じる気持ちが勝つような接戦の時が多いです。妊娠の機会に、「信じてみる勇気」を持ってもらえたらいいのになと思いました。信心や成人の道は、七転び八起き、試行錯誤の連続なのではないかと思います。順調に悟りの境地に達した人は十分結構ですが、のたうち回りながら失敗から学ぶ人も、私は好きです。

 

「をびや許しさえあれば何をしても大丈夫」?

 憩の家にいると、こどもおぢばがえり期間中に、毎年1人は、早く生まれてしまう赤ちゃんがいるように思います。こどもおぢばがえりの付き添いは、妊婦には結構ハードです。天理教のご婦人は、自分のしんどさよりも周りを大切にする人が多いので、ついつい無理をされるのでしょう。妊婦健診時、貧血の人も、天理教でない人より多いです。をびや許しを頂いて、順調な時は常日頃と同じようでいいですが、切迫早産(注①)妊娠中毒症(注②)の兆候があったら無理はせず、修理肥の医師や助産師の注意にも、よく耳を傾けて健康な妊娠期を過ごせるようにしましょう。まさに「親にもたれて人事を尽くす」です。

 

「をびや許しのご守護がなかった?」と思う時

『おふでさき』に、
  これからハをびやたすけもしいかりと
  せつなみなしにはやくむまする 七 80
  またたすけをひやぢうよふいつなりと 
  のばしなりともはやめなりとも 八 32 
とありますが、お産の時に、をびや許しを頂かれた方が時間を切って、お願いされるとその時間にお産になったり、陣痛が長引いた時でも、ご主人がかんろだいに額(ぬか)ずかれると同時に安産されたり、合併症のため小児科医がスタンバイされるまでお産を伸ばして頂いたり、不思議なご守護は数々あり、ありがたいことと思っています。しかし、その一方で、私達助産ようぼくが心を痛めるのは、絶対数からすれば少数ではありますが、「をびや許しのご守護がなかった? 私に案じ心があったから?」とご自分を責める妊婦さんがいらっしゃることです。

 例えば、帝王切開(注③)ではいけないと思っていませんか? 私は、帝王切開も親神様が私達人間にお教え下さった修理肥だと思います。をびやだめしの頃にはなかった麻酔薬を発見した先人があり、帝王切開の方法や輸血、母児搬送システムを作り上げていったことは、先人の努力と親神様のお導きあってのことと思います。

 赤ちゃんに先天的障害があったらご守護がなかったと思いますか? 私は、生まれるべき命は、生まれるべくして生まれるのだと思います。ハンディキャップのある命を社会全体で、どう協力・共存・むしろ宝としていくかは、私達一人ひとりにかかっています。

 お産の経過中に発生した問題で、母親や赤ちゃんに障害が残った時は、どう思いますか? とってもつらいですが、それでも私は、をびや許しのご守護はあった、親神様の親心は精一杯働いていた上で、成ってきたことだと思います。少なくとも妊婦〝一人〟が、「自分の案じ心のせいか」とか「神も仏もないのか」と苦しむべきではないと思います。成ってきたことの意味合いを、家族や周囲の者(医療従事者ひいては社会も含む)、皆で談じ合い、乗り越えるべきふしだと思います。

 疱瘡(天然痘)は、世界から一旦撲滅されました。お産も昔に比べれば、大厄(たいやく)ではなくなりつつあります。親心にしっかりもたれて心していきましょう!

注①切迫早産 妊娠22週以降37週未満に、分娩の時起こる現象、つまり陣痛のように子宮が頻繁に硬くなったり(お腹が張る)、出血したり、子宮口が開いたり、破水したりして出産(早産)となる危険性が高い状態を言う。

②妊娠中毒症 妊娠が原因となって起きる高血圧・蛋白尿・浮腫など身体の特殊な異常の総称。
注③帝王切開 母体の腹壁および子宮壁を切開して胎児を取り出す手術。胎児の産道通過が困難で、自然分娩が期待できない時に行う。

 

をびやづとめのパワーは世界に広がる

  あしきを払うて どうぞおびや すつきり早くたすけたまへ 天理王命
  南無天理王命 南無天理王命

(をびやづとめの地歌)
『續 ひとことはなし その二』より

 夜、おぢばでおつとめ下さるをびやづとめに、「どうぞ皆様にご安産を!」と心を添えて、唱和させて頂いていると、をびやづとめのパワーが、かんろだいの3000人分の御供(ごく)はもちろん、全世界に広がっていくような気が、私はします。今、日本人妊婦の100人に1人がをびや許しを頂いている(④)と言えますが、あとの99人にも、世界中の他の妊婦にも、このをびや許しパワーが届けと願いを込めて、をびやづとめを拝します。「をびや」の手振りは、守り、旬来て開く、子宮の働きのようにお見受けします。「すっきり」の手振りは、いちれつ澄み切りの手のようです。

 世界には、蔓延(まんえん)するエイズや、高い妊産婦死亡率などの問題に苦しむ女性が大勢います。一方、身近な日本の中でも、もっとよいお産にしてあげたかったと、思う時があります。

 をびや許しの親心にしっかりもたれながら、妊婦さんもご家族も、修理肥としての医療ようぼくの私達も、社会もしっかり人事を尽くさなければならないと思います。

 

 

※をびや
「うぶや」産屋が転訛した語形。「うぶや」はお産のための忌み期間、すなわち二十一日ないし七十五日間、別火の生活を送る所、産室のことであり、出産のため別小屋を設ける所もある。またこの忌み期間を「をびや」と呼ぶ所もあります。

※をびや許し
 教祖は不思議珍しいご守護の一番初めに、安産のご守護をお見せ下さいました。これを「をびや許し」と言います。「をびや許し」を頂き、この親神様こそ真実の親を信じ、案じ心を一切捨てて凭れきって通るなら、何の心配もなく、短い時間に軽々と安産のご守護を下さるのです。また、産後の肥立ちも十分お守り下さって、昔からよく言われてきたような、腹帯も、凭れもの、毒忌み、物忌みも一切いらず、平素の体とまったく同じようにご守護下さいます。産まれた赤ちゃんの上にも鮮やかなご守護を頂くことは言うまでもありません。
 なお、安産のご守護を願ってつとめるおつとめを「をびやづとめ」と言います。

※ほうそ 疱瘡(ほうそう)(天然痘)
 痘瘡ウィルスによる感染症。高熱を発し、悪寒・頭痛・腰痛を伴い、解熱後、主として顔面に発疹を生じ、あとにあばたを残します。感染性が強く、死亡率も高いが、種痘によって予防できます。

※かんろだい
 かんろだいは、親神様が人間、世界をお創りになる時、人間を宿し込まれたところ=ぢばに、その証拠として立てられている台です。天理教教会本部の神殿の中央にすえられています。六角形をした大小十三に部分を積み重ねて作られていますが、その全体の姿やそれぞれの形、寸法などは、すべて教祖からお教え頂いたもので、人間創造と、成人の理をかたどっているとお聞かせ頂きます。

 をやこでもふうくのなかもきよたいも
 みなめへくに心ちがうで  五 8
 たとえ親子でも夫婦でも、また兄弟でも、一名一人と言って、心は一人ひとり自分の心があるのです。

※おさしづ
 天理教の原典の一つで、個人や教会その他の、身上・事情の問題をはじめ、日常生活の中に起こる、いろいろな事柄について、親神様にお伺いしたことに対して、親神様から事細かに心構えや歩み方、身の処し方を指図して下されたお言葉を筆録したものです。

『おふでさき』や『みかぐらうた』が神一条の信仰の根本、基準をお示し下されているのに対して、『おさしづ』は、その時その場に応じて心の持ち方、身の処し方をお仕込み下さっているもので、神一条の信念に立って現実生活をどう行動するかという、応用問題に対する悟り方をお教え下さったものとも言えます。

※修理肥(しゅうりごえ) 
「修理」とは壊れたものを修繕するという意味ではなく、田の修理、すなわち手入れ、世話取りを意味します。ものが育つには修理や肥が大切です。種を蒔くだけではなく、雑草を引き手入れをし、肥料を置くことによって立派に育ち、喜びの収穫があるのです。

 私達は子供を育てる上にも、信者さんを導き育てる上にも、あるいは教会の充実を図る上についても、この「修理肥」という言葉を使い、そのための努力をします。

 これからハをびやたすけもしいかりと
 せつなみなしにはやくむまする 七 80
 今後は、をびや許しによるたすけは、確実に何の苦痛もなしに、早く楽々とお産のできるように守護する、とおっしゃって下さっています。

 またたすけをひやぢうよふいつなりと
 のばしなりともはやめなりとも 八 32 
この真実からたすけとはどういうたすけを思うか。それは、ほうそ除けの守りをこしらえて渡し、また、をびや許しを出して、産期を延ばしなりとも早めなりとも、自由自在に守護するというたすけをする。

参照:お道のことば ようぼくハンドブック 天理教事典 広辞苑第六版 おふでさき講義 おふでさき註釈

(草場直子 2008年8月発行『ウィズ・ユゥ』vol.31 より)

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