時にはしゃがんで見ることも
長男が4才の冬、
夕方、火の気のある台所でまとわりつくので、
「もう! あっち行ってて!」
と何度も言いながら、私は夕食の用意をしていました。
しばらくして気が付くと、息子の姿が見あたりません。
お風呂、トイレ、押し入れ、庭…
思いつくままに探しました。けれど、見つかりません。
辺りは暗くなり、
「あと30分探して見つからなかったら、警察に連絡しよう」と主人。
懐中電灯を手に、何度も探した場所をまた捜し、
家の中、押し入れを開け、ふと腰をかがめてしゃがんでみると、
「いたー‼」
押し入れの下の段に積んだ布団の奥で、
ぐっすり眠っている息子を見つけました。
目を覚ました息子に
「なんで押し入れの中にいたの?」と尋ねると、
「いつも言うでしょ、布団の上で寝なさいって」と。
体中の力が抜け、胸の奥が熱くなるのを感じました。
腰をかがめてしゃがんだ時のあの高さ、
それが子供が毎日見ている世界だったことに気がつきました。
子供の頃、天井がものすごく高く感じたこと、
子供の頃、お父さん、お母さんは、ものすごく背の高い人だと思っていたこと…
そしてなんでも素直に行動していた子供の頃。
あれから数年が過ぎ、息子は今、どんな世界を見ているのでしょうか?
時には子供の目線に下りて、同じ景色を見てみるのも、
今しかできない大切な親子の時間です。